露出ってなに?
露出ってなに?ほんとうにそうですよ。なに?露出って。キタコレ。
初めてのアナログ写真。今回は「露出」についてです。
フィルムに光を当てる
フィルムに光を当てると写真が写ります。これを露出、あるいは露光と言います。
それだけなら話は簡単なのですが、問題は光の量の調整です。
肉眼でものを見るのに比べて、銀塩アナログ写真は驚くほど少しの明暗の幅しか写すことができません。フィルムに当てる光の量が多すぎると白くつぶれてしまい、少ないと何も写りません。デジタル写真にないアナログならではの美しい写真を作るためにはこの露出の調整が重要なのですが、まずはひとつずつ順番に説明していきます。
露出=シャッタースピード+絞り+フィルム感度
露出を決定する要素はフィルム感度と絞りとシャッタースピードです。それぞれについては個別の記事を参考にしてください。
露出を決める組み合わせ
フィルム感度はフィルムとフィルム現像液の組み合わせで決まります。撮影する時に調整できるのは残りのふたつ、シャッタースピードと絞りです。この組み合わせを見ていきましょう。
上の表の組み合わせはどれも同じ露出になっています。左から右に見ていくと、絞りは2倍ずつになっています。シャッタースピードは半分ずつになっています。そのため、どの組み合わせも同じ露出です。f値と絞りの大きさについて復習しておきましょう。下の図を参考にしてください。
絞りの大きさが大きくなる(光がたくさん入る):シャッタースピードが早くなる(光が入る時間が短い)= 結果:同じ露出
絞りとシャッタースピードの関係はこれでOKですね!絞りとシャッタースピードはそれぞれ、ピントの合う範囲やブレに影響がありますが、詳しくはそれぞれの記事を参考にしてください。ここでは続けて露出の決め方を解説していきます。
露出を測る方法
露出を決めるにはまず光を測る必要があります。この光を測る方法には2種類あります。
入射光式は被写体に当っている光を測る方法です。それに対して反射光式は被写体から反射した光を測る方法です。カメラに内蔵されている露出計は全て反射光式です。白黒フィルムはきれいに写る明暗の幅がかなり狭いので、露出をしっかり計測する必要があります。そのため反射光式の露出計をおすすめします。カメラの内蔵露出計でもいいのですが、さらに狭い範囲を計測可能なスポットメーターがもっともおすすめです。スポットメーターがあればゾーンシステムを利用した的確な露出決定ができます。
カメラの露出計を使う場合は原則としては基準の指標に合うように露出を決めればOKです。ただし、明暗の差が大きい被写体の場合は注意が必要です。
カメラの露出計の注意点
明暗の差が大きい被写体の場合、カメラの内蔵露出計は構図を少し変えただけで計測値が変化してしまいます。被写体の明るさは変わっていないのに計測値が変化する理由は、カメラの露出計は画面全体を平均化して計測する仕組みになっているからです。そのため、画面内に明るいエリア多ければ暗く、暗いエリアが多ければ明るく調整してしまいます。もしこの場合、露出計の計測値を信用すると、被写体の重要な部分が暗く潰れたり明るく飛んだりすることがあります。
このように明暗差の大きい被写体の場合は、カメラを明るい方や暗い方へ大きく向けて、変化する計測値の中央あたりの露出にするとうまくいくことが多いです。心配な時は露出を1段ずつ変えて明-中-暗と3枚撮影しておくとより確実です。
白黒フィルムの露出でもっとも大切なこと
「現像時間を延長すれば増感できる」とよく言われます。しかし実際は現像時間の延長で増感現像はできません。撮影の時に暗い部分に十分な露光が与えられなければ、そこには何も写っていません。ですから白黒フィルの撮影で最も大切なことは、画面の暗い部分にしっかり露光するということです。
さらに知りたい人へ:ゾーンシステムというアイデア
デジタル写真にはないアナログ写真ならではの美しい写真を作るには、露出がとても大切です。そのためにゾーンシステムという露出計測のアイデアが役に立ちます。ただゾーンシステムは歴史のあるメソッドではあるものの、非常に誤解されている方法でもあります。特に日本ではこれまで、その目的が十分に理解されないまま教えられてきました。そのためゾーンシステムを学んだ人が魅力のない写真を作り続けてしまうということが起こっています。
ゾーンシステムは美しい写真を作るためのアイデアです。アイデアは目的を理解して自分のものにして、道具のように使いこなしてこそ意味があります。
東京オルタナ写真部のワークショップでは、初めて本当に使えるゾーンシステムを、フィルムを初めて触る初心者にもわかるように解説しています。ほんとうにかっこいいアナログ写真に関心のある方は、ぜひご参加ください。
東京オルタナ写真部の露出ワークショップ
東京オルタナ写真部ではアナログ写真の露出ワークショップを開催しています。
「絶対に失敗したくない」は、フィルムと光の関係を解説し、露出の失敗の原因を徹底的につぶしていきます。露出計では測れない「写真に写る見えない光」も解説します。
「センシトメトリー」は、ゾーンシステムの完全版です。ネガの濃度とコントラストを完全に把握します。 詳しくは下記のブログ記事でも紹介しています。
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