撮影散歩+ワークショップの「カメラウォーク」。この撮影会のためにSilversaltのティムが用意してくれたフィルム現像液を紹介します。
何度も言いますが…フィルム現像で全て決まります
その前に…これまでも幾度となく書いてきていますが、銀塩白黒写真の出来はネガで決まります。これは、「人によっていろんな意見があるからね…」というようなレベルの話ではなく、議論の余地のない事実です。合理的に考えれば、誰でも納得できる明白な事実です。
もちろん、日本の写真指導の現場では「写真は暗室のプリント作業で作られる」という指導がされてきたことは知っています。しかしそれは完全な誤解です。銀塩白黒写真のクオリティは、フィルム現像が終わった時点で決定しています。
もしあなたの写真の先生が「写真は暗室のプリント作業で作るものだ」という主張でフィルム現像について十分な見識がないようでしたら、ぜひ東京オルタナ写真部のワークショップにご参加ください。私たちのワークショップに参加していただければ、かっこいい写真の謎はなくなります。
なぜ明らかな誤解が日本で信じられ続けているのかについては、おおよその推測はできます。その辺の事情はまた別の機会に書くとして、ここでは、今回のカメラウォークで使用する現像液を紹介していきます。
現像液ソムリエが選ぶ厳選フィルム現像液
「現像液ソムリエ」のティムと私(大藤)が個性あふれるフィルム現像液をご紹介します!
フィルム現像液に個性なんかあるのか?あるんです。あなたの写真のキャラクターを決めるのは現像液です。デジタルカメラには「画像エンジン」が搭載されています。リッター何キロ走れるかというエンジンではなく、このエンジンはセンサーが感じ取った信号を映像に変換するハードウェア+ソフトウェアです。つまり、デジタルカメラの描写を決定する心臓部です。銀塩写真プロセスでこの「画像エンジン」に相当するのが、フィルム現像です。
デジタル写真では、RAWデータで撮影し、photoshopなどのソフトウェアで後から処理をするという作業が普通です。しかし銀塩写真ではデジタル写真のように後から自由な調整はできません。フィルムにかっこよく写っていなければ、かっこよくプリントできないのです。つまり撮影のタイミングで完成プリントを設計しておく必要があります。
通常指導されている暗室での「プリントテクニック」とは、往々にして、失敗したネガの救済テクニックのことです。失敗ネガからのプリントは、苦労は多く得るものは少ない、ストレスの大きい作業です。かっこよく写っているネガからは、無駄な作業のストレスなしに美しいプリントを作ることができます。
なるほど、それはわかった。では「かっこよく写ってる」ってなんだよ。それは人によって求めるものが違うだろう?
そう、そのとおり!だからフィルム現像液には多様な種類があるんです!デジタルカメラの「画像エンジン」はブラックボックスで調整できませんが、銀塩白黒写真は現像液や現像方法で自分の目的に合った画を作ることができます。
それでは「現像ソムリエ」が選ぶ、この秋使ってみたいフィルム現像液 。どうぞ!
ADOX ロジナール
ロジナールの最大の特徴は何と言っても高いシャープネス。最もシャープな現像液の1つです。いや全ての現像液の中でいちばんシャープ…と言ってもいいかもしれない。それくらいシャープ。
現在も市販されている最古の現像液です。
ロジナール現像データ:https://bit.ly/2LVve7o
詳しくは以下の記事をごらんください。
Rollei スーパーグレイン
この現像液はローライから発売されていますが、設計したのは、優れた最新の現像液を開発しているシュプール社です。様々な条件で撮影されたネガを調整しながら現像する性能に優れています。なんと現像液が勝手に調整してくれます。撮影条件や露出に不安があるときも何とかしてくれる、頼れるお助け現像液。
スーパーグレイン現像データ:https://bit.ly/2wGnxMP
詳しくは下記の記事に。
ADOX FX-39
SPUR アクロール
先進的なフィルム現像液を発表し続けるシュプール社のベスト汎用現像液。非常に洗練された設計で、銀塩フィルムのポテンシャルを最大限に引き出します。初心者から経験豊富なユーザーまで攻略しがいのある現像液です。
アクロール現像データ:https://bit.ly/2Q42KMb
詳しくはSilversaltの商品ページをごらんください。
ADOX CMS20 II 専用現像液
アドックスのフィルムCMS20IIは、現在手に入るフィルムの中で最もシャープかつ微粒子のフィルムの一つです。最強。どれくらいすごいかというと、フィルムの解像度がレンズの解像度の能力を超えるほどです。超シャープ。超微粒子。ただしこのフィルムは専用の現像液を使用する必要があります。それがこのADOTECH IVです。
詳しくは下記記事に。
メーカーの公表データは信用できる?
ティムから「現像液を紹介するなら、これだけは言っといて!」とお願いされているのは、フィルム感度と現像時間についてです。
フィルムや現像液のメーカーはデータを公表しています。ふつうはそれに従って撮影と現像をすればいいはずですね…?
うーん、そうとも言えますが、実はそうでないことも多くあります。
実際に自分でテストをしてみると、メーカー公表のデータではとんでもない結果になっていることがよくあります。それを知らないと、フィルム現像を終えて「あれ、撮影に失敗した…。でも何が悪かったんだろう?」と悩むことになります。
これは、規格で定められたデータ計測手順があまりに古くて、私たちの実際の使い方と合わなくなっていることなどに原因があります。ですから、公表されているデータはそのまま使えるとは限らないというのが実情です。
例えば最近ワークショップ参加者から相談されたケースを紹介すると、「公称感度ISO200のフィルム+現像時間15分」という公表データが実際は「撮影感度ISO50+現像時間12分」だったということがありました。もしそれを知らずに撮影していたら、ほぼ全部失敗写真になっているところでした!
Silversaltが公開しているデータは、ティムが自分でテストしたものが含まれます。彼の現像方法は東京オルタナ写真部のワークショップで教えている方法と同じですから、再現性が高く、非常に信頼できます。今回のカメラウォークでは、現像液と各種フィルムの組み合わせはもちろん、撮影感度&現像データまでアドバイスします。
それではお会いできるのを楽しみにしています!
オリジナルフィルム現像液 |東京パイロ TOKYO PYRO
東京オルタナ写真部では、オリジナルフィルム現像液「東京パイロ Tokyo Pyro」を開発しました。ありきたりな画になる要素を排し、アナログ写真ならではの美しい画に全振りしたフィルム現像液です。
世界の写真コミュニティで話題の最新現像液「510 Pyro」よりも、はるかに美麗な画像を得ることができます。
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東京パイロについてより詳しい解説は次のページ「オリジナルフィルム現像液 |東京パイロ TOKYO PYRO」をご覧ください。