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再び、『明るい部屋』へ

東京オルタナ写真部のロラン・バルト読書会は『明るい部屋(LA CHAMBRE CLAIRE)』から始まり、バルトの著作をさかのぼるように読みました。その後、ロラン・バルト自身も含む文化の大きな背景を理解するためにギリシャ神話、ホメロスの読書会を開催してきました。

『明るい部屋』は写真論であるより前に、私の生が私自身のものであること、その取り替えのきかなさについて書かれた本です。

この読書会は、ロラン・バルトの真摯な試みをていねいに追いながら、それを深く確実に理解できる内容になります。読書会を通じて、私たちは自分自身でこの本を体験し発見していきます。

この読書会が、写真で表現をする人の思想の入り口になれば幸いです。ぜひご参加お待ちしています!

 

開催概要

開催予定日:2023年7月29日(土)、8月5日(土)、12日(土)、19日(土)、26日(土)、9月2日(土)

  • 19:00時開始
  • 各回90~120分の予定です。
  • 会場の都合等で日程が変更になる場合があります。
  • 最初に哲学(現象学)の基礎についてレクチャーを行います。その後は参加者のレジュメで進行します。
  • 最後の回では『明るい部屋』の先へと進む可能性についてディスカッションを行います。
  • 場所:新代田駅(井の頭線)近辺会場
    オンライン参加も可能です。
  • 講師:大藤健士
  • 補講について:遅刻や欠席をされた回は映像記録を視聴できるようにします。

参加費:18,000円(全6回分)

※過去に東京オルタナ写真部『明るい部屋』読書会に参加し、再度参加される方は、会場費カンパだけで参加していただけます。

 

参加方法

参加希望の方は以下の申し込みフォームよりお申し込みください。

  • 申し込みフォームを送信後、折り返しこちらから詳細をご連絡いたします。もし2日以内にメールが届かない場合はお手数ですが下記メールアドレスまでご連絡ください。東京オルタナ写真部:info@tokyoaltphoto.com

 

使用するテキストについて

 

読んでいくテキストは基本的に日本語訳の『明るい部屋』(ロラン・バルト 花輪光訳 みすず書房)ですが、古い版は誤訳が含まれるため、2018年以降の版をおすすめします。

私たちの読書会の指摘によって誤訳が修正された経緯はこちらに簡単に紹介しました。

追記:私たちの指摘により、48ページ11~12行目の誤訳は2018年以降の版では改訂されました。東京オルタナ写真部ではロラン・バルトの『明るい部屋』の読書会を開催しています。『明るい部屋』は写真家に非常に人気のある「写真論」ですが、これほど誰もが知っているのに、何が書かれているのかほとんど誰も理解していない本というのも珍しいと思います。こんなことになっているのは、読者側の問題もいろいろとあるのですが、そもそも日本語の翻訳テキストの問題も小さくないと思われます。過去5回の読書会では英語訳とフランス語オリジ...

準備できる方はフランス語の原著か英語訳を並行して読むことをおすすめします。

現象学的な方法によって、写真の本質・ノエマ(それはかつてあった)を明証しようとした写真論。私事について語ることの少なかったバルトが、直接的に母の死について触れると同時に、写真の核心に迫った彼のイメージ論の決算。

「写真とは何か」という問い

 

「写真とは何か」という問いに対しては、これまで様々な人が色々なことを発言してきました。しかし問題の本質に向けて確実に近づこうとする試みはそれほど多くなかったように思います。

ロラン・バルトは『明るい部屋』で、哲学の方法論「現象学」を用いてこの問題に踏み出します。ロラン・バルトの歩みは断崖の縁を歩くように確実です。そしてこの本を読むことで、彼が立ち止まった地点に私たちもたどり着くことができます。

思わせぶりな言葉遣いで書かれたわかりにくい読み物という印象を持った人もいるかもしれません。しかし言葉をよく吟味し、さらに哲学の方法を知ることで、ロラン・バルトが歩いた道筋が浮かび上がってきます。この本は、写真家にとって深く切実な問題にまっすぐ向かって書かれています。その道のりを辿り、そこからの景色を見てみることは、写真で表現する人に深い励ましを与えるものになるはずです。

 

ロラン・バルト『明るい部屋』

 

東京オルタナ写真部:ロラン・バルト読書会より

私たちは、なぜロラン・バルトの読書会をするのか。 「生産性」という言葉 最近、「生産性」という言葉が深いショックを持って受け止められています。きっかけは、ある政治家の「同性カップルは『生産性』がないので、社会資本を彼らに割く必要はない」という主旨の発言でした。ある人の人生を「生産性」という言葉を基準にして評価できるという認識。この認識の犯罪的な傲慢さとおぞましさについては、いくら批判しても足りないほどです。ともあれ、私は写真家なので写真の話をします。写真の言葉についてです。 「いい写真とはな...
追記:私たちの指摘により、48ページ11~12行目の誤訳は2018年以降の版では改訂されました。東京オルタナ写真部ではロラン・バルトの『明るい部屋』の読書会を開催しています。『明るい部屋』は写真家に非常に人気のある「写真論」ですが、これほど誰もが知っているのに、何が書かれているのかほとんど誰も理解していない本というのも珍しいと思います。こんなことになっているのは、読者側の問題もいろいろとあるのですが、そもそも日本語の翻訳テキストの問題も小さくないと思われます。過去5回の読書会では英語訳とフランス語オリジ...
『明るい部屋』読書会:最後のディスカッション先週末は『明るい部屋』読書会の最終回でした。この本を読み終えて最後のディスカッションを行いました。本当にどう言えばいいのかわからなくてこんな言葉しか見つからないのですが、感動に包まれるような最終回になりました。愛と悲しみと世界の関係について、不可能なほど誠実に考えようとした本。それがこの『明るい部屋』です。読書会でレジュメを読み上げながら、私自身、感情が抑えられず何度も胸が詰まりそうになったことがありました。このようなことを言うと必ず「え、そんな本...

 

現象学的な方法によって、写真の本質・ノエマ(それはかつてあった)を明証しようとした写真論。私事について語ることの少なかったバルトが、直接的に母の死について触れると同時に、写真の核心に迫った彼のイメージ論の決算。