銀塩写真を始めたい人へ:モノクロフィルム編 #5 ローライ/マコ: Rollei/ Maco

もしかすると、いまどき銀塩写真を始めたいひとがいないとも限らない。


万が一、そんな人がいた場合に備えて最近の銀塩写真情報をぼちぼちとまとめていきます。

カメラ編に続きフィルム編。それもモノクロフィルム。
風前のともし火と言われはや10年余。名を変え、国を変え、しぶとく生き続けています。I’m still STANDING!!

モノクロフィルム、まだ買えます。買えますとも。今回はドイツの謎多きブランドRollei。

★写真用モノクロフィルムの現状

 

そもそもカラーフィルムが普及した時点で、モノクロ(白黒)フィルムはまだ必要なのか?という議論もあったのではないかと思います。しかし、白黒フィルムはカラー時代を生き抜きました!それは、カラーフィルムをモノクロ画像にするよりも、最初からモノクロフィルムで撮影した方がだんぜんきれいだったからです。

デジタル時代にも同じことが言えるとは思うのですが、デジカメにフィルムを入れて撮影するわけにいかないので、フィルムカメラが衰退するとともにフィルム生産も大幅縮小されました。しかしモノクロフィルムはこのまま無くなるのか、と思いきや、国を変え、会社を変え、工場を変えて、多くのモノクロフィルムの生産はまだ続いています。

 
 
 

■Rollei ローライ

今回紹介するモノクロフィルムメーカーは「ローライ」です。
というか「マコ」です。
というか「アグファ」です。
ワケ、
ワカ、
ラン。
 

 

2010年ごろに登場した写真フィルムブランド「ローライ/Rollei」。ローライと言えばもちろん、あの2眼レフカメラで有名なメーカーです。フィルム?フィルムは作っていません。では最近になってフィルム製造にも進出したのかというと、そうではなくてブランド名義だけ使用しているようです。
 
では「ローライフィルム」の実体は何かというと、販売しているのはドイツのマコです。マコは最近まで自社ブランドのフィルムを販売していたのですが、そちらは既に販売終了し、ローライブランドのフィルムを販売するようになりました。ローライのモノクロフィルムは驚くほどラインナップが充実していたため、当初からその「正体」が話題になっていました。
 
実はローライフィルムの多くを製造しているのはアグファのベルギー工場です。そのため、ローライブランドのフィルムの一部は、かつてアグファから販売されていたフィルムと同じものだと言われています。
 
例えばローライRetro100と400は、アグファ APX100と400。ローライ Superpn200は、アグファ Aviphoto Pan200と同じもののようです。ただ、最近新しく登場したADOXのSilvermax100は、APX100とほとんど同じだという情報もあり、かつてのアグファフィルムの愛好家にとってはまさに「神経衰弱」状態です。
 
 
 

ローライフィルムは種類が多いので、わかりやすいように(勝手に)グループ分けしてみました。

  1. 伝統のアグファを引き継ぐ超正統派フィルム
  2. 通常用途の高品質フィルム
  3. グラフィックフィルム系「勝負フィルム」
  4. 赤外線フィルムなどのクリエイティブ系

1. 航空写真系個性派フィルム

Rollei RETRO 80S

アグファAviphot Pan 80(航空写真用フィルム)と同等のフィルムです。なだらかな階調と美しい粒子。ハレーション防止層の添加により、名前とは裏腹に、画はかなり現代的な印象です。オールドレンズよりも最新レンズでシャープに仕上げたい感じです。かなりコントラストが高いので、雨や曇りの日など低コントラストのシーンの撮影に最適です。(高コントラストのシーンの撮影に使用すると、シャドウ部やハイライト部にディテールが得られない場合があります。)

赤外線領域(750nm付近)まで感光性があるため、フィルターを使って赤〜赤外域の光で撮影することができます。カブリを生じやすいため、フィルム装填時は直射日光を避けてください。

シャドウ部の濃度が上がりにくいので、露光に注意が必要です。現像液との組み合わせによっては実効感度がISO20程度になる場合があります。また、ハイライトはごきげんにどこまでも濃度上昇するので、現像時間にも注意が必要。撮影前に必ずフィルム現像のデータをチェックするようにしてください。

Rollei Retro 80s
現像液:Tokyo Calling(オリジナル)
©東京オルタナ写真部
  • フィルム感度とサイズ
    • 80
    • 35mm、120サイズ
  • データシート(PDF)

 

Rollei SUPERPAN 200

 

RETRO 80sと同様の印象のフィルムです。80sよりも感度が高い分、現像方法の影響を大きく受けます。精細感は80sに劣りますが、がりっとした力強さはあります。RETRO 80sと同じくコントラストは高く、公称感度のISO200だと画に力がなくなるため、ISO100かそれ以下の感度での使用をおすすめします。シャドウ部の描写は苦手です。シャドウ部に重要なモチーフがある場合は撮影感度をISO20程度に落とすと良い場合もあります。

このフィルムも赤外線領域まで感度があるため、フィルターを使うことで赤外線写真に近いトーンを狙うことができます。カブリやすいので、フィルム装填は直射日光を避けてください。アグファAviphot Pan 200と同等のフィルムです。

 

©Kenshi Daito
Rollei SuperPan200
現像液:ロジナール改(オリジナル)

 

©Kenshi Daito
Rollei SuperPan200
現像液:ロジナール改(オリジナル)

 

  • フィルム感度とサイズ
    • 200(100~400)
    • 35mm、120サイズ
  • データシート(PDF)

Rollei RETRO 400S

 

このフィルムはアグファAviphot Pan 400と同等のフィルムですが、Rollei SuperPan 200と非常によく似ています。撮影感度はISO100程度になることが多いので、撮影前に現像データを確認することをおすすめします。赤外域まで感光性があります。

  • フィルム感度とサイズ
    • 400
    • 35mm、120サイズ
  • データシート(PDF)
 
 

2. 伝統のアグファ、高品質古典派ラインナップ

Rollei RPX 25

このフィルムは低感度の超微粒子、高精細フィルムです。ドキュメント用フィルムではないため、通常の現像液を使って連続したトーンの画像を得ることができます。またこのフィルムはパンクロマティック(可視光の全ての色に感光)です。

 

©Regular Rod @Flickr
Rollei RPX 25
 
  • フィルム感度とサイズ
    • 25
    • 35mm、120サイズ
  • データシート(PDF)

Rollei RPX 100

中庸感度のパンクロマティックフィルム。品質や使いやすさから見て、ローライのモノクロフィルム・ラインナップの中で、もっともレギュラーなポジションのフィルムだと言えそうです。伝統的な旧型乳剤。リッチなトーンとコントラスト。

 
©Alfred Weidinger @Flickr
Rollei RPX 100

 

  • フィルム感度とサイズ
    • 100
    • 35mm、120サイズ
  • データシート(PDF)

Rollei RPX 400

高感度パンクロマティックフィルム。現像液Rollei RPX-Dを使用することで、ほとんど画質の変化なしでASA1600まで増感できます。また粒子は増大するもののASA3200まで良好な結果を得ることができます。

 
  • フィルム感度とサイズ
    • 400(400〜3200)
    • 35mm、120サイズ
  • データシート(PDF)
 

3. グラフィックフィルム系「勝負フィルム」




Rollei ATO 2.1

もともとMaco GFの名前で20年来販売されていたリスフィルム(グラフィック・フィルム)。オルソマティックなので、赤色には感光しません。Rollei RLCなどローコントラスト現像液で現像すると連続トーンの写真が得られます。超細密描写が可能です。

©tjshot @Flickr
Rollei ATO2.1
  • フィルム感度とサイズ
    • 25~32
    • 120サイズ、シート(4×5、8×10、12×16インチ)
  • データシート(PDF)

Rollei Ortho 25

超細密描写が可能なグラフィック・フィルム(オルソマティック)。おそらく今後、上記のATO2.1に置き換わっていくフィルムだと思われます。Rollei RLCなどローコントラスト現像液で現像すると連続トーンの写真が得られます。最新レンズの性能を最大に引き出し、かりっかりの画で攻めたいときに投入すると、無敵です。まちがってもカメラを手持ちで撮影したりしないように!常に三脚使用。

  • フィルム感度とサイズ
    • 25
    • 35mm、120サイズ、シート(4×5、5×7、8×10、12×16、2.25×3.25インチ)
  • データシート(PDF)

Rollei ATP 1.1

 

超細密描写が可能なパンクロマティックフィルム。元々はドキュメントフィルムだったようですが、改良を加えて、高性能なピクトリアルフィルムとして生まれ変わったそうです。専用現像液としてRollei ATP-DC/ABが用意されています。赤外域近くまで感光性があるため、カメラへのフィルム装填時は直射日光を避けることが勧められています。

 
©Jelle @Flickr
Rollei ATP
  • フィルム感度とサイズ
    • 40
    • 120サイズ
  • データシート(PDF)

Agfa Copex Rapid

こちらもパンクロマティック・ドキュメントフィルム。しかし感度が高くなっています。ASA50!ドキュメントフィルムでは画期的!35mmサイズがあるのが嬉しいですね。専用現像液はシュプール社からModular URが発売されています。
 
ん?このフィルムはRolleiって言ってませんね。アグファ。だんだんどうでもよくなってきたのか?
 
 
 
 
  • フィルム感度とサイズ
    • 50
    • 35mm、120サイズ
  • データシート(PDF)
 

4. 赤外線フィルムなどのクリエイティブ系

Rollei Infrared 400S

このフィルムは赤外線領域の820nmまで感光性があるフィルムです。(肉眼で見ることができるのは700nmぐらいまでです。)波長の長い赤外線は錯乱しにくいため、遠景まではっきりと写すことができます。また、植物の葉など赤外線を反射するものは白く写ります。可視光線をカットするフィルターを使うと、完全に赤外線だけで撮影することができます。その際、露出計では露出を正確に計れません。またピント位置がずれるので注意。

 

©Martin Hughes @Flickr
Rollei Infrared400
  • フィルム感度とサイズ
    • 400
    • 35mm、120サイズ、シート(4×5)、70mm
  • データシート(PDF)

Rollei Blackbird

トイカメラ愛用者向けのハイコントラスト・フィルム。美しいトーン再現よりも、シャープにぱかっと写すのに最適。

  • フィルム感度とサイズ
    • 25〜100
    • 35mm
  • データシート
    • 未公表(ASA100:現像液D76 20℃ 10分)
 
 
 *

銀塩写真の最近の情報をまとめるシリーズ、モノクロフィルム編。
前世紀の遺物。風前のともし火。なんとでも言え。どっこい生きてます。
さすらいのヨーロッパ編。
ヨーロッパでは、かつての名フィルムたちが製造中止と再生産をくりかえしています。
次回はドイツADOX


「銀塩写真を始めたい人へ」記事は、ぼちぼち更新していきます。
現在入手可能なもので銀塩写真を始められるように情報をまとめていきます。(簡単にね)

フィルムカメラ編に続くフィルム編。
まずは現在入手可能なモノクロフィルムを全て紹介します。

ではでは。


参考記事:銀塩白黒フィルム全リスト

銀塩写真を始めたいひとへ:白黒フィルム全部紹介!銀塩白黒フィルム。 風前のともし火と言われはや10年余。名を変え、国を変え、しぶとく生き続けています。I'm still STANDING!!モノクロフィルム、まだ買えます。買えますとも。2019年、いま買える写真用白黒...



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