フィルム現像の道具

 

銀塩写真で質の高い作品を作ろうとするとき、とても大切なのがフィルム現像です。

フィルム現像は目で見て作業できないため、クリエイティブとは無関係な単なるプロセスと考えられがちです。しかし実は暗室でのプリント作業よりもはるかに深く画のクオリティに関わります

デジタル写真でたとえるなら、カメラの画像エンジンとPhotoshopのトーン調整がフィルム現像プロセスで行われます。しかもそこはアナログ。いったん終えた現像結果はやり直し不可能!「Ctrl + Z」で取り消しできません。

操作性にこだわってカメラを選ぶように、フィルム現像タンクも操作性の良いものがおすすめです。使い勝手の良い道具はストレスなく快適に作業できます。

 

東京オルタナ写真部:フィルム現像ワークショップ

 

フィルム現像タンクの性能とは

 

フィルム現像タンクについて「現像ムラが出にくいかどうか」が話題にされることがあります。しかし率直に言って、どの現像タンクを使っても適切に使用すれば現像ムラは出ません。もし明らかな現像ムラが出る場合、それはタンクではなく使用方法の問題です。

市販のどの現像タンクを使用しても、適切に使用すれば同じ結果を得られます。ですから、現像タンクの性能とは「扱いやすいかどうか」だけの差ということになります。そしてこの差がなかなか大きいのです。

 

ステンレス製タンクについて

一般的に、フィルム現像タンクはステンレス製のものが良いと言われますが、これからフィルム現像を始めるひとには、ステンレス製タンクはおすすめしません。理由は扱いにくいからです。

 

JOBOとマスコタンク

 

ステンレスタンクの残念なところ

フィルムのセットが難しい

ステンレス製タンクのもっとも残念なところは、フィルムをセットする作業が複雑で難しい点です。

ステンレスタンクのフィルムのセットは、フィルムを縦横の2方向にカールさせながらリールの中心から巻き取っていきます。平面のフィルムを不自然な形にゆがめるだけでも無理があるのですが、それを目で見ず指先の感覚だけでできるようになる必要があります。失敗するとフィルムが破損します。トラブルのリスクの大きい方式だと言えます。

 

液漏れする

現像タンクの密閉性が低いため、現像中に撹拌するたびに液漏れします。薬品で作業スペースが汚れるため、シンクの中で現像作業をする必要があります。

 

フタが開かなくなる

タンクの本体とフタのかみ合わせが悪いと、素手でフタを開けられなくなります。叩いて開けるために、フィルム現像用に木槌を常備している人もいます。

 

使用する薬品量が多い

ステンレス製のマスコタンクと、プラスチック製のJOBO(ヨーボ)を比較すると、35mmサイズの場合、薬品の量が2倍ほど違います。これはマスコタンクには内部にデッドスペースがあるからです。JOBOは無駄な空間がない設計になっています。

 

JOBOタンクはマスコタンクと同様の薬液循環の仕組みがあるが、内部の無駄な空間をなくす工夫がなされている。

 

おすすめフィルム現像タンク:JOBO(ヨーボ)

 

東京オルタナ写真部のおすすめのフィルム現像タンクは、JOBO(ヨーボ)です。扱いやすく、とても優れた現像タンクです。東京オルタナ写真部のワークショップでも使用しています。

 

JOBO 1510

JOBOタンクの特徴

フィルムロードがとても簡単!

リールの溝にフィルムの先を入れて、手でするすると送っていくだけでセットできます。明るいところで数回練習すれば完璧にできるようになります。ステンレスのリールとは比較にならないほど簡単です。

 

液漏れが非常に少ない

液漏れがほとんどないのでシンク不要。テーブルの上でも現像できます。

 

少ない薬液で処理できる

タンク内に無駄なスペースがないので、最小限の液量で現像できます。

 

扱いやすい(とくにフタ)

薬品用のフタには気圧を利用して簡単に開けることができる仕組みがあります。

 

リールが有能! 1種類のリールでフィルムサイズを変更できる。

リールの幅が可変式なので、35mmサイズも120サイズも同じリールで使うことができます。また、120サイズはひとつのリールに2本分を巻けるので、ステンレスタンクに比べて現像液の使用量が半分で済みます。

 

温度管理がしやすい

プラスチックタンクは熱伝導率が低いため、外気温による液温への影響をステンレスタンクほど気にせずにすみます。内部の温度が安定しているため、静止中の現像液の対流も抑えられます。

 

金属製に劣らず耐久性がある

JOBO製品のライバルはJOBO製品。いちど購入すると長期間使えるから顧客が買い替えてくれない!とJOBO社自身が嘆くほど高い耐久性があります。

 

回転撹拌にも対応

専用のローラー台やプロセッサーを使えば回転撹拌もできます。回転撹拌は非常に少ない現像液で安定した現像を行うことができます。この方法は大判のシートフィルムの現像に最適です。そう、JOBOはシートフィルムもタンクで現像できます。

 

 

画に無関係なプロセスはシンプルに。

 

フィルム現像はかっこいい写真のための最も重要なプロセスですが、それは現像処理のことです。フィルムを現像タンクに装填する作業は、それこそ全く画に無関係です。クリエイティブな要素ゼロ。こんなことで失敗してせっかくの写真を台無しにするのはまったくつまらない話です。この点だけでもプラスチック製タンクの方がステンレス製よりも断トツで優れています。

もしフィルム現像タンク選びに迷われたら、ぜひプラスチックタンクを検討してみてください。

JOBOよりも価格の安いAPパターソンの製品もおすすめです。

 


JOBOタンクの購入先

JOBOタンクはSilversaltのサイトから購入できます。

Silversalt:JOBO製品のページ

 

JOBOタンクの使用方法:Silversalt YouTubeチャンネルより

 

 


オリジナルフィルム現像液 |東京パイロ TOKYO PYRO

東京オルタナ写真部では、オリジナルフィルム現像液「東京パイロ Tokyo Pyro」を開発しました。ありきたりな画になる要素を排し、アナログ写真ならではの美しい画に全振りしたフィルム現像液です。

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東京オルタナ写真部ショップ:東京パイロ

 

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東京パイロについてより詳しい解説は次のページ「オリジナルフィルム現像液 |東京パイロ TOKYO PYRO」をご覧ください。

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