銀塩写真を始めたい人へ:モノクロフィルム編 #1 Kodak Tri-X, T-MAX, BW400CN

 もしかすると、いまどき銀塩写真を始めたいひとがいないとも限らない。

万が一、そんな人がいた場合に備えて最近の銀塩写真情報をぼちぼちとまとめていきます。

カメラ編に続きフィルム編。それもモノクロフィルム。
風前のともし火と言われはや10年余。名を変え、国を変え、しぶとく生き続けています。I’m still STANDING!!

モノクロフィルム、まだ買えます。買えますとも。


 

★写真用モノクロフィルムの現状

 

そもそもカラーフィルムが普及した時点で、モノクロ(白黒)フィルムはまだ必要なのか?という議論もあったのではないかと思います。しかし、白黒フィルムはカラー時代を生き抜きました!それは、モノクロ写真については、カラーフィルムをモノクロにプリントするよりも、最初からモノクロフィルムで撮影した方がだんぜんきれいだったからです。

デジタル時代にも同じことが言えるとは思うのですが、デジカメにフィルムを入れて撮影するわけにいかないので、フィルムカメラが衰退するとともにフィルム生産も大幅縮小されました。しかしモノクロフィルムはこのまま無くなるのか、と思いきや、国を変え、会社を変え、工場を変えて、多くのモノクロフィルムの生産はまだ続いています。

そこで、いま手に入るフィルムを全部紹介してみようと思います。
気に入りのフィルムを見つけたら、ぜひ買い支えてあげてください!

 

 

Kodak You press the button, we do the rest

まずは伝統のKodak社。
アメリカの国民的芸術、写真と映画。その両方を支えたKodak。
1888年に世界で初めてロールフィルムを販売し、その後の映像の20世紀に君臨したKodak。しかし映像のデジタル化に対応できず、2012年にはアメリカの民事再生法の適用を受けました。王国の勃興と衰退を目の当たりにするようです。嗚呼、Kodak!

Kodak ロールフィルム付きカメラの特許 1888年

美しく、信頼性が高いKodakモノクロフィルムは人気が高く、もし製造が終了しようものなら世界中の写真家の悲嘆が地を揺らすことになるでしょう。幸い販売は継続していますが、かつて存在した個性的なフィムルは姿を消し、定番製品だけが生き残っています。まったく予断を許さない状況です。

“You press the button, we do the rest”

 

Kodak Tri-x(トライX、TX)

 

1954年に販売開始。今年で生誕60年!現行モノクロフィルムで最長寿!ベトナム戦争はNikonとKodakのTri-Xで撮影されたと言っても過言ではない!(たぶん)

フィルムとしては旧タイプになりますが、非常に高い信頼性、美しいディテール、豊かな階調と、これぞモノクロフィルム!というフィルムです。見た目に近いトーンで撮影できると言われますが、ディテールの再現には絵画的な美しさがあります。特に暗部の諧調分離はすばらしいですね。他のフィルムではあきらめなくてはならないような、暗部のディテールを見事に描写します。とくに画面の暗部で勝負したいときは、フィルム感度を250~320程度に下げて露出決定すると効果的です。

Tri-XとD-76現像液の組み合わせは、最も標準的なモノクロ写真現像だと言えます。しかし様々な現像液で試すことも可能です。しかも無茶な現像をしてもけっこう平気。つまり初心者でも扱いやすいフィルムです。これから銀塩写真を始めたい人への最初の1本として、非常におすすめです。

もちろんそのまま最後の1本までTri-Xでも問題ありません。かのセバスチャン・サルガドも、愛用しているフィルムはTri-Xです。

©セバスチャン・サルガド 使用フィルム:Tri-X

 

  • フィルム感度とサイズ
    • 320(シートのみ 4×5、5×7、8×10)
    • 400(35mm、120サイズ)
  • データシート(PDF)

 

Kodak T-MAX

 
1980年代にモノクロフィルム界に革命をもたらした技術が「T粒子」。これはフィルム内の銀粒子を平べったくすることによって化学反応のムダをなくし、高感度と微粒子を可能にした技術です。使用する銀の量を減らすことにもなりました。Kodakが開発し特許を持っている技術です。
 
KodakのT-MAXは、このT粒子技術を使った世界で初めての市販フィルムです。非常にシャープで再現性に優れたトーンです。T-MAX専用現像液で処理することが勧められています。
 
個人的な感想ですが、35mmフィルムでは、わりとふつうに写ります。大判シートフィルムでは性能をいかんなく発揮できると思います。しかし35mmフィルムで、デジタル写真にない銀塩ならではの美しさとなると、T-MAXはちょっと扱いが難しいかもしれません。

T-MAX100

 

 

 
 

Kodak BW400CN

 
BW400CNはモノクロフィルムですが、現像はカラーネガと同じ処理(C-41)です。モノクロフィルム用の現像液では現像できません。フィルム現像は町の写真屋さんにお願いしましょう。
 
特徴は、高感度なのに微粒子でシャープ。しかもラチチュード(写る明暗の範囲)が非常に広いので、コントラストの高い被写体や露出の失敗に強いフィルムです。ネガをスキャンしてデジタル写真として処理するのにも向きます。
 
失敗が少なく、現像処理が安定しているので、手軽にモノクロ写真を始めたい人には最適だと思います。
 
BW400CN

 

  • フィルム感度とサイズ 
    • 400、35mm
  • FAQ
  • データシート(PDF)

 

 

銀塩写真の最近の情報をまとめるシリーズ、モノクロフィルム編。
前世紀の遺物。風前のともし火。なんとでも言え。どっこい生きてます。
次回は、Kodakと共に20世紀の写真と映画を支えた両雄、我らがFUJIFILMです。

 


「銀塩写真を始めたい人へ」記事は、ぼちぼち更新していきます。
現在入手可能なもので銀塩写真を始められるように情報をまとめていきます。(簡単にね)

フィルムカメラ編に続くフィルム編。
まずは現在入手可能なモノクロフィルムを全て紹介します。
それから、フィルム現像編プリント編(銀塩印画紙、デジタル)
とぼちぼちと続く予定です。

ではでは。


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