「PENTAX 17」という名前が表すもの
大手カメラメーカーが、まさかのフィルムカメラの新機種を発表！
PENTAX（リコー）が35mmハーフサイズカメラ「PENTAX 17」をリリースしました。
ハーフサイズカメラの新機種
2022年12月にPENTAXブランドからフィルムカメラのプロジェクトを立ち上げると発表があったとき、勝手に妄想大会をやりましたが、なんと予想的中のハーフサイズカメラでした。だれかほめて！
PENTAX「フィルムカメラプロジェクト」新開発カメラ、勝手に妄想大会
PENTAX、フィルムカメラ作るってよ！PENTAXが「フィルムカメラプロジェクト」を発表しました。フィルムカメラを新たに開発したいと。お、おま正気か！フィルムで写真を撮る理由は様々あると思いますが、私の場合はフィルムの方が確実で早いからです。写真フィルムは最強の画像エンジンなので、狙い通りに撮れば狙った以上にかっこいい画になります。超、楽。早い。そんなつよつよなフィルム写真ですが、カメラが中古しかないのは悩みどころ。撮影中にトラブルが起こらないように気を使うこともままあります。新しいカメラがあったらな…...
ハーフサイズはいいぞ。フィルム面積が小さいのは画質的には不利だけど、フィルム感はましましになります。
PENTAX 17はかなり大きな話題になっていますし、実機レビューも出てきていますので、本体スペックやデザインについてここであれこれ書くことは遠慮しておきますが、わたしがこのカメラの好きなところは、その名前です。
PENTAX 17という名前
PENTAX 17。この名前。公式によるとフィルム上の画面サイズ17mm×24mmに由来していますとの説明ですが、なんだそのかわいらしい言い訳は。
まずなにより、シャッターを切れば周囲の鳩がいっせいに飛んでいく鈍器カメラPENTAX 67へのオマージュであることはバレバレすぎではないですか。そして、フィルムサイズを名前に冠することは、デジタルカメラ文化とは一線を画するこのカメラの立ち位置を静かに宣言しています。実にかっこいい。
そしてこのネーミングセンスは、このプロジェクトチームの目線の高さも表していると思います。これまでもフィルムカメラの「新機種」は発売されたことがあります。しかしそれらは、いわゆるトイカメラであって、その場限りの使い捨てのようなものでした。PENTAXのフィルムカメラプロジェクトは、商品企画においては文化史まで包括し、設計・製造にあたっては企業が持つ高い技術を動員するという、本当の意味で「新しいカメラ」だと言えます。
保守的というよりは、冒険を恐れるために時流に抗うことをしない日本企業にとって、苦手なことがふたつあるように思います。ひとつは誰もやっていない新しいことに挑むこと。そしてもうひとつは、歴史を振り返り古いものを継承することです。
このふたつの点において、PENTAXフィルムカメラプロジェクトのチームは、その優れた見識と勇気を評価されるべきだと私は思います。
