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この勉強会のまとめ記事です。

映画『TENET』 | フェスとしてのアート体験とナラトロジー

 ストーリーが理解できない映画映画館で初めて見たときの率直な感想は、体感理解度20%…。映画『TENET』は、話の内容がほとんどがわからないまま終わってしまった。気合を入れて大画面大音量のIMAXシアターで見たので、よけいに出会い頭に車にはねられたような気分だった。釈然としない。この複雑なストーリーを分析し、理解するために寸止め上映会を始めた。複数人でディスカッションしつつ、ショットごとに一時停止しながら内容確認。さらにはコマ単位まで分解して分析したその結果、明らかになったことは…映画をあまりに細分化して...

読書会スピンオフ企画:

映画と時間
『市民ケーン』から『TENET』まで

クリストファー・ノーラン作品の分析

"TENET" Warner Bros. 

映画『TENET』

読書会に参加してくれていた人から、仕事帰りに毎日のように映画館に『TENET』を観に行っていると聞き、そんなに面白いのか!と私も観に行きました。が、やっぱりぜんっぜんストーリーがわからない!理解度は体感的に2割。なぜこんなに難解なのかというと、物語の時間の方向が2方向あるからです(雑な説明)。

クリストファー・ノーランはこれまでも、時間をモチーフにした作品を作ってきましたが『TENET』は非常にラディカルです。少しでも何かを見落としてしまうと、話についていけず置いてけぼりになってしまいます。

そこで『TENET』の画面を確認しながらストーリーを解読する「寸止め上映会」を開催しようとしたのですが、緊急事態宣言の発令と重なったため延期にしました。と、それならこれを機にクリストファー・ノーラン研究会をやろう!というのがこの企画です。

 

『市民ケーン』から『TENET』まで

映画における時間の再構成といえば、クリストファー・ノーラン以前にもいくつもの映画が想起されます。

たとえば主人公の最期から始まる『市民ケーン』(1941年)。『サンセット大通り』(1950年)にいたっては、主人公が死んでいるシーンが本人のナレーションによって説明されるところから映画が始まります。

最近の映画でも『1917』(2019年)は、ショットの時間と物語の時間が一致しない(10分程度の1ショットで数時間を表現する)という斬新なストーリーテリングを作り出しました。それらの映画も参照しながら、クリストファー・ノーラン作品を分析したいと思います。

映画『市民ケーン』

ちなみに、映画『市民ケーン』を観たサルトルはこんな感想を述べたそうです。

「ニューヨークで作品を見たジャン=ポール・サルトルは「『市民ケーン』はわれわれが従うべきお手本ではない」と批判し、「(物語が)一切が終わった地点から遡って見られているため、映画固有の現在形の生が失われてしまっている」と指摘している。」

Wikipedia 市民ケーン

いやー、サルトルが『メメント』や『TENET』を観て何と言うか、聞いてみたかったですね!

開催概要

「映画における時間の構成」をテーマに、クリストファー・ノーラン作品を中心に上映会とディスカッションを行います。

開催日程

  • 2021年4月3日(土) 14:00~ 『TENET』寸止め上映会開催予定

参加費は基本的に経費のカンパ(1000円程度)の予定です。参加希望の方はメーリングリストに登録いたしますので、下記フォームよりお申し込みください。

批評会「映画と時間」

メーリングリスト参加希望

東京オルタナ写真部の読書会では、ときどき映画上映とディスカッションを開催しています。ディスカッションの一部はブログでも紹介してきました。

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