初めてのアナログ写真。今回は暗室での印画紙プリントについてです。

引き伸ばし機の仕組み

まずは、どんな説明でもたった1分で終わらせるILFORDの動画シリーズ「フィルム写真への案内」から、引き伸ばし機の使い方について。

How a Photographic Enlarger Works by ILFORD Photo
How a Photographic Enlarger Works by ILFORD Photo
撮影して現像を終えたフィルムには写真が写っています。それを印画紙にプリントする機材が引き伸ばし機です。ほとんどの場合、元のフィルムのサイズよりも大きく引き伸ばすことになるので、引き伸ばし機と呼ばれています。
白黒銀塩写真の場合は、フィルムに写っている写真は明暗が反転したネガの状態です。
ネガをネガキャリアにセットします。
ネガキャリアを引き伸ばし機にセット!
引き伸ばし機のランプを点灯すると、光はネガとレンズを通ってイーゼルの上にイメージを投影します。
引き伸ばし機のヘッドを支柱に沿って上下させて、イメージのサイズとフォーカスを調整します。
ピントルーペ(フォーカスファインダー)を使って、フォーカスを精密に合わせます。
印画紙のコントラストを変えるにはマルチグレードフィルターを使います。※
マルチグレードフィルターを引き伸ばし機にセット!
そしていよいよ印画紙をイーゼルにセットします!
印画紙への露光時間を調整するのは引き伸ばしタイマーを使います。※
露光が終わった印画紙にはまだ何もイメージが見えませんが、現像液で現像すると写真が出てきます!

フィルムから印画紙へ

引き伸ばし機の基本的な使い方は上記のとおりです。しかしさすがに1分の動画では簡単なことしか説明できませんね。

暗室で印画紙にプリントするのはかっこいい写真プリントを作るためです。引き伸ばし機を使う目的もそれに尽きます。

 

私たちが知らない2つのこと:露光時間とコントラスト

さてネガから印画紙にプリントしようとする時、私たちは2つのことがわかっていません。ひとつは適当な露光量、もうひとつは適当なコントラストです。印画紙へプリントするとき、最初にテストプリントを行い、この2つのデータを得ます。データが得られれば、引き伸ばし機をセットして本番用のプリントをします。

※露光時間を調整するのが引き伸ばしタイマーです。そして印画紙のコントラストを調整するのがマルチグレードフィルターです。

 

テストプリントの手順

サイズやフォーカス以外で、私たちが引き伸ばし機で調整できるものは3つあります。それはレンズ絞り、露光時間、マルチグレードフィルターです。露光量の調整はレンズ絞りとタイマー(露光時間)の組み合わせで行います。

最初はなにかも当てずっぽうです。マルチグレードフィルターは標準的な2号フィルターをセットします。

レンズ絞りも当てずっぽうです。最終的な露光時間が6秒から30秒くらいになると作業がしやすいので、それを目安にレンズ絞りを調整します。

1.露光時間を見つける

露光時間も当てずっぽう!…ですから、まずこれからテストします。

  • 印画紙を細く切ってイーゼルにセットします。そして印画紙を黒紙で覆い、少しずつずらしながら、6秒から30秒程度の間で段階的に露光します。
  • このテストピースを現像してみて、もっとも良い感じになっている露光時間を探します。露光時間のテストでは画面の明るい部分のトーンが良い感じになっているところを見つけます。

2.コントラストを見つける

次にその露光時間で画面の暗い部分のトーンを観察します。

  • もし暗い部分のトーンが良い感じなら、テストで使ったマルチグレードフィルターの号数(この場合は2号フィルター)でOKです。
  • もし暗い部分が浅く弱い印象ならコントラストを強くするフィルターに替えます(2号→3号など)。
  • 逆に暗い部分が黒く強すぎる印象なら、コントラストが弱くなるようにフィルターを替えます(2号→1号など)。

はい、終了

これで露光時間とコントラストが分かりました!次は引き伸ばし機のタイマーとフィルターをテスト結果通りにセットして、本番用のサイズの印画紙をイーゼルにセットして、タイマーのスイッチを押すだけです。

露出とフィルム現像が適切なネガであれば、これだけでとても美しい写真を作ることができます。特別なプリント技術は必ずしも必要ではありません。

フィルムを触るのも初めてだった参加者の作品。撮影、フィルム現像、そして初めての印画紙プリント。:東京オルタナ写真部ワークショップ

東京オルタナ写真部:アナログ写真ワークショップ

東京オルタナ写真部 アナログ写真ワークショップでは、撮影実習、フィルム現像実習、暗室でのプリント実習を通じ、さらに詳しく解説しています。初めてフィルムを触る方から参加できます。

©Taiyo Furuya 当ワークショップ実習作品
analog photography WS
ほんとうにかっこいいアナログ写真ワークショップ    開催予定のワークショップは「現在募集中のワークショップ」のページをごらんください。 銀塩モノクロ写真の魅力と謎 銀塩写真の魅力は、ナチュラルな階調とリッチな質感です。それによって版画にも似た美しい「写真」ができます。過去の名作写真を観察すると、必ずこの階調と質感を見つけることができます。たとえばエドワード・ウェストンの作品。この階調と質感!これらは歴史に残る美しい銀塩写真作品のひとつです。ところで、もし白黒フィルムを使って写真を撮ったこ...

 

 


オリジナルフィルム現像液 |東京パイロ TOKYO PYRO

東京オルタナ写真部では、オリジナルフィルム現像液「東京パイロ Tokyo Pyro」を開発しました。ありきたりな画になる要素を排し、アナログ写真ならではの美しい画に全振りしたフィルム現像液です。

世界の写真コミュニティで話題の最新現像液「510 Pyro」よりも、はるかに美麗な画像を得ることができます。

デジタルでは代替できないアナログの魅力を最大に活かす、最先端フィルム現像液。東京オルタナ写真部ショップで好評販売中です!

 

東京パイロ 販売ページ

東京オルタナ写真部ショップ:東京パイロ

 

東京パイロ 詳細ページ

東京パイロについてより詳しい解説は次のページ「オリジナルフィルム現像液 |東京パイロ TOKYO PYRO」をご覧ください。

オリジナルフィルム現像液 |東京パイロ TOKYO PYRO
現像液:東京パイロ フィルム:RPX100(35mm)東京パイロは、東京オルタナ写真部ショップにて好評発売中です!東京オルタナ写真部ショップオリジナルフィルム現像液 東京パイロ東京オルタナ写真部のオリジナル現像液「東京パイロ」をご紹介します。美しい画と使いやすさを両立した他にないキャラクターの現像液です。マイクや楽器の音質にこだわる音楽の世界では、大量生産の機材に満足できない人々は自ら機材を開発します。そのような小規模生産機材のこだわりの音は「ブティック・トーン」と呼ばれます。現像液「東京パイロ」は写真...


関連記事