20世紀は映像の時代であったと言われています。

多くの事件、戦争、学術探検、無謀な冒険が映像で記録され

人々の知見を広げました。

まだ伝説的な英雄が活躍する時代であった南極探検も多くの映像で記録されました。

当時の貴重な写真は現代のわたしたちに多くのことを教えてくれ…

ちょ、ちょっと待て。

それは…なんだ?


昨日1月17日は、悲劇の南極探検隊として有名な、イギリスのスコット隊が南極点に到達してから102年目にあたる日でした。ノルウェーのアムンセン隊に遅れること一ヶ月。人類初到達をかけた競争に敗れ、失意の帰路でスコット隊は全滅します。

当時の南極探検は多くの映像で記録されました。スコット隊にはハーバート・ポンティングという写真家が同行しています。ポンティングは、南極大陸で初めて映画撮影を行った撮影技師でもあるそうです。

南極で写真撮影するハーバート・ポンティング

 

ポンティングが残したぞくぞくするような美しい写真を見ると、彼が非常に腕のいい写真家であったことが伺い知れます。

 

Herbert Ponting
Barne Glacier 1910
Terra Nova 1911

他にも以下のサイトにいくつか写真があります。

PHOTOGRAPHY NEWS
In Photos: Remembering the Terra Nova Expedition

…が、5枚目あたりに、ものすごく突っ込みをいれたくなる写真が!

 

ポンティング先生の日本解説@スコット隊南極基地!

 

南極探検の基地で上映されている芸者のスライド!
1911年10月16日@南極スコット基地!!
ポンティング先生、南極で何やってんすか!?

そんな悠長なことをしているから遭難したんじゃないかと心配になります。100年ほど遅いですが。

実はポンティングは1902年(明治35年)に日露戦争の取材のために日本を訪れ、その後1910年に"In Lotus-land Japan" (楽園の日本)という本をロンドンで出版していたのでした。明治35年。まだ逝きし世の面影の残る日本を彼は体験できたのでしょうか。




南極の幻燈会で上映される100年前の芸者のスライドの写真は、その極端な二重のイメージで現在の私たちを幻惑します。

そしてなによりも、英雄の誉れを求めて南極探検に出向いた100年前の人々もまた、新奇な映像を楽しむ20世紀人であったことをポンティングの映像は教えてくれます。

PHOTOGRAPHY NEWS
In Photos: Remembering the Terra Nova Expedition

 

 求む男子。危険な旅。微々たる報酬、極寒、完全な暗黒の長い日々、不断の危険、生還の保証無し。成功の際には名誉と賞賛を手にする。  そして運が良ければ死後100年を経て仕事を発見される。 20世紀初頭、南極探検はまだ伝説的な英雄譚の時代だった。1911年、ノルウェーのアムンセン隊とイギリスのスコット隊は人類初の南極点到達を競い南極大陸に上陸していた。 12月14日にアムンセン隊が南極点に初到達し、全員が生還した。スコット隊はアムンセン隊に1ヶ月遅れで到達。帰路遭難し全滅した。イギリスではこの雪辱をそそぐために1914...

 

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