被災地の瓦礫の山から写真を拾い集め、洗浄し、持ち主へ返すプロジェクト。
「思い出サルベージ」プロジェクトと、
その経過報告とも言える展示会が開催されているのでご紹介します。
震災からちょうど一ヶ月たった頃、参加していた支援活動と連携していたNPOに誘われて被災地に入りました。まだ自衛隊が道路復旧に全力を挙げ、食料支援が急がれている時期でした。
行けども行けども見渡す限り広大な瓦礫の原。「壊滅」という言葉すらこの状態を十分に表現しているとは思えませんでした。そんな中、写真を拾い集めている数人のグループを見かけました。
正直なところ、彼らの姿は、被災の現実を背景にするとあまりに無力でナイーブに見えました。しかし誰もが無力であることに違いはないわけです。そしてまた、あとで後悔したくないなら、愚かであることを恐れず行動しなくてはならないのも事実でした。
被災地で写真を拾い集めて洗浄し、持ち主に返すプロジェクトは、だいとうの最初の印象に反して大きな共感を呼び、成果もあげました。そしてまたプロジェクトに参加した人は行動することの意味と喜びを得たのではないかと思います。
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だいとうは写真家ですが、被災地では支援活動の報告のための写真以外は撮影しませんでした。
それは、そこで「写真家」として撮影することに、火事場泥棒のような卑しさを感じたからです。怠け者の意気地なしと言われればその通りなのですが、それで後悔はしていません。写真家として勇気を奮うべき場所は他にあると、いまも思っています。
写真家の自分とはあまり関係はないと考えていた今回の震災ですが、この「思い出サルベージ」プロジェクトは、思いがけず、写真について考える機会を与えてくれました。
それは、
「写真とは何か」
「私たちはどのように写真を必要としているのか」
ということについてです。
◉思い出サルベージ
http://jsis-bjk.cocolog-nifty.com/omoide/
◉LOST & FOUND展
東京・西麻布
2012.1.11(WED)-2.11(SAT)
AKAAKA Gallery
◉FUJIFILM 《写真救済プロジェクト》