サイアノタイプとデジタルネガティブ
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先日開催したデジタルネガティブ・ワークショップでは、サイアノタイプの伝統的処方のデータを取りました。
サイアノタイプなどの古典的な写真技法は紫外線付近の光にしか感光しないため、ネガフィルムを感光化した紙に密着させてプリントする方法が一般的です。その密着プリント用のネガフィルムをインクジェットプリンターで出力したものがデジタルネガティブです。
プリントしたい画像の階調を反転してデジタルネガ用フィルム(ピクトリコTPS100)に出力すればデジタルネガティブは完成です。って、それはそうだけど、そんなに簡単な話でもないのです。
狙い通りのきれいな階調を再現しようとするなら、データの調整が必要になります。デジタルネガティブ・ワークショップでは、そのデータ調整を実地で行います。
デジタルネガティブとは言え、データを取る方法は基本的にアナログ写真と全く同じです。基本のステップは3つ。
そしてこの方法は、サイアノタイプに限らず、他のすべてのプリント技法に汎用性があります。一般的な古典技法(オルタナティブプロセス)の場合、黒は露光時間(露光量)で決定し、白はデジタルネガティブの最大濃度で決定します。そして中間のトーンはトーンカーブ(あるいはカラープロファイル)で調整します。
サイアノタイプの伝統処方と新処方には、だいたい以上のような違いがあることがわかりました。
どちらがいいか?それは何とも言えません。それぞれ長所と短所があります。画の特徴から言うと、新処方はスッキリとしたハイライトできれいに画が出ますが、伝統的処方の着色した中間〜ハイライトも味があります。どちらを使うかは好みでいいと思います。
それぞれの注意点は、伝統処方は水洗しすぎないことと表面をこすらないこと。新処方は不純物が析出していると画が流れるので必ずろ過することです。
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