富士フィルムが映画用フィルムの生産終了を発表しました。
世界中で、映画の撮影・上映用のフィルムを生産しているのは、ほぼ富士フィルムとKodakの2社のみ。
Kodakは経営再建関連の法令の管理下にあり、写真用フィルムと印画紙の製造部門は他社に売却される予定。
かろうじて映画フィルムはまだ生産しているようですが、それもいつまで続くかどうか。
そのような状況なので、富士フィルムの映画用フィルム生産終了の決定も、時代の当然のなりゆきだと、一般には受け止められているのだと思います。
パナビジョンのパナフレックス。アメリカ製。設計思想が明快というかおおざっぱというか…四角い箱に駆動メカを入れて、箱の面にそれぞれレンズやマガジンが付くようになっている。おおらかで大味なカメラ。フィルムをかけるのはわりと面倒くさい。ネジがインチなのは勘弁! |
しかし、少し別の意味でこのニュースはショックだった。
なぜなら、だいとうはもともと映画や映像の撮影現場で働いていたからなのだ。
当時「本編」と言えば35mmフィルムで撮影する映画のことで、業界的にはもっともステータスの高い現場だった。
高価なフィルムを湯水のように使い、美しい画を作る。
そのために大人数のスタッフが連携し、技を発揮する。
多くのスタッフにとっては、ギャラも大事だけど、いい映画が完成することも同じくらいに大事なことだと考えられていた。
カメラ機材を扱うのは「撮影部」で、冷静沈着で信頼感があるイメージ。
なぜなら撮影機材の操作にトラブルやミスがあると全てのスタッフ、俳優の努力が台無しになってしまうからだ。
ARRI 535。ドイツ製。無骨で質実剛健に見えて、実はヨーロッパ的な美しいフォルムにまとめられている。まさにドイツ的なカメラ。フィルムマガジンを装填するときのスムーズさは感動的 |
などとわかったようなことを書いているが、だいとうは撮影現場で働いていたといっても、末端で少し関わっていたにすぎない。
ともあれ、最後はその「撮影部」だった。
自分が担当していたのはカメラ機材関係でも特に撮影中のフィルムの管理と準備。
そして撮影にあたってカメラにフィルムを装填する、フィルムローダーが主な仕事だった。
フィルムはデジタルと違い、撮影時間にして数分ごとにロールを交換する必要がある。
そしてフィルムのロールの交換中は撮影現場の全てが停止する。
そのような仕事をしばらくやっていたのだが、いまや映画の現場はデジタル化した。
ということは…フィルムローダーという仕事はとっくになくなったのだ!
人力車の車引き、無声映画の活動弁士、活字工、タイピスト、バスの車掌…
かつて存在し、時代とともに消えた職業。
フィルムローダー、お前もか! ていうか、自分!!
アトーン。フランス製。前身のエクレアとともに、どこか頼りない。ともあれ、使いやすい。重厚長大さは皆無。フランス的優美さと言うべきか。ハイビジョン映像のためのフィルム撮影で使われた。 |
そんなこと言いながら、お前もいまはデジタルで写真撮ってるんだろう?
と思ってますね?
フィルムです。
だいとうはフィルムで写真撮ってます。
それも白黒フィルム。自家現像。
プリントは古典技法。つまり印画紙は手作り。
デジカメも持ってはいますが、日常的に扱っているのは銀塩フルマニュアルカメラです。
まあそういうわけですので、このブログでは、おすすめ銀塩フルマニュアルカメラの紹介なぞをしていこうかなと思います。
(誰も頼んでない。)