最新更新日:2022年2月10日
もしかすると、いまどき銀塩写真を始めたいひとがいないとも限らない。
万が一、そんな人がいた場合に備えて最近の銀塩写真情報をぼちぼちとまとめていきます。新品フィルムカメラ全網羅に続きフィルム編。それもモノクロフィルム。風前のともし火と言われはや10年余。名を変え、国を変え、しぶとく生き続けています。
I'm still STANDING!!
モノクロフィルム、まだ買えます。買えますとも。
写真用モノクロフィルムの現状
そもそもカラーフィルムが普及した時点で、モノクロ(白黒)フィルムはまだ必要なのか?という議論もあったのではないかと思います。しかし、白黒フィルムはカラー時代を生き抜きました!それは、モノクロ写真については、カラーフィルムをモノクロにプリントするよりも、最初からモノクロフィルムで撮影した方がだんぜんきれいだったからです。
デジタル時代にも同じことが言えるとは思うのですが、デジカメにフィルムを入れて撮影するわけにいかないので、フィルムカメラが衰退するとともにフィルム生産も大幅縮小されました。しかしモノクロフィルムはこのまま無くなるのか、と思いきや、国を変え、会社を変え、工場を変えて、多くのモノクロフィルムの生産はまだ続いています。
Kodak "You press the button, we do the rest"
まずは伝統のKodak社。
アメリカの国民的芸術、写真と映画。その両方を支えたKodak。
1888年に世界で初めてロールフィルムを販売し、その後の映像の20世紀に君臨したKodak。しかし映像のデジタル化に対応できず、2012年にはアメリカの民事再生法の適用を受けました。王国の勃興と衰退を目の当たりにするようです。嗚呼、Kodak!
美しく、信頼性が高いKodakモノクロフィルムは人気が高く、もし製造が終了しようものなら世界中の写真家の悲嘆が地を揺らすことになるでしょう。幸い販売は継続していますが、かつて存在した個性的なフィムルは姿を消し、定番製品だけが生き残っています。まったく予断を許さない状況です。
追記
現在、Kodakのフィルムはイーストマン・コダック破綻後のスピンオフ会社Kodak Alarisが、製造・販売しています。
Kodak Tri-x(トライX、TX)
1954年に販売開始!現行モノクロフィルムで最長寿!ベトナム戦争はNikonとKodakのTri-Xで撮影されたと言っても過言ではない!(たぶん)
フィルムとしては旧タイプになりますが、非常に高い信頼性、美しいディテール、豊かな階調と、これぞモノクロフィルム!というフィルムです。見た目に近いトーンで撮影できると言われますが、ディテールの再現には絵画的な美しさがあります。特に暗部の諧調分離はすばらしいですね。他のフィルムではあきらめなくてはならないような、暗部のディテールを見事に描写します。とくに画面の暗部で勝負したいときは、フィルム感度を250~320程度に下げて露出決定すると効果的です。
Tri-XとD-76現像液の組み合わせは、最も標準的なモノクロ写真現像だと言えます。しかし様々な現像液で試すことも可能です。しかも無茶な現像をしてもけっこう平気。つまり初心者でも扱いやすいフィルムです。これから銀塩写真を始めたい人への最初の1本として、非常におすすめです。
もちろんそのまま最後の1本までTri-Xでも問題ありません。かのセバスチャン・サルガドも、愛用しているフィルムはTri-Xです。
- フィルム感度とサイズ
- 320(シートのみ 4x5、5x7、8x10)
- 400(35mm、120サイズ)
- データシート(PDF)
売り上げランキング: 141,044
Kodak T-MAX 100 400 3200
1980年代にモノクロフィルム界に革命をもたらした技術が「T粒子」。これはフィルム内の銀粒子を平べったくすることによって化学反応のムダをなくし、高感度と微粒子を可能にした技術です。使用する銀の量を減らすことにもなりました。Kodakが開発し特許を持っている技術です。
KodakのT-MAXは、このT粒子技術を使った世界で初めての市販フィルムです。非常にシャープで再現性に優れたトーンです。T-MAX専用現像液で処理することが勧められています。
T-Maxはシャープで微粒子で優れたフィルムであることは間違いありません。大判シートフィルムでは性能をいかんなく発揮できると思います。しかし(これは個人的な好みですが)銀塩らしさを出そうとすると、ちょっと扱いが難しいかもしれません。
T-Max P3200が再導入!
増感特性に優れた白黒フィルム。通常感度はISO800ですが、ISO3200またはそれ以上に増感可能。
- フィルム感度とサイズ
- 100、400、800(3200)
- 35mm、120サイズ、4x5
- データシート(PDF)
- Kodakモノクロフィルム現像時間一覧 (PDF)
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シュプール製 Kodak T-Max専用現像液:Shadowmax
先進的なフィルム現像液を開発しているドイツのシュプールからT-Max専用現像液が登場しました。シャドウ部の問題を解決し、他の現像液よりも良好な結果になります。
詳細はSilversaltのサイトでご確認ください。
T-Max専用現像液 Shadowmax :Silversalt
銀塩写真の最近の情報をまとめるシリーズ、モノクロフィルム編。
前世紀の遺物。風前のともし火。なんとでも言え。どっこい生きてます。
次回は、Kodakと共に20世紀の写真と映画を支えた両雄、我らがFUJIFILMです。
いま買える写真用白黒フィルムの最新リストを公開しています!
ほんとうにかっこいいアナログ写真ワークショップ
東京オルタナ写真部では、アナログ写真ワークショップを開催しています。かっこいい写真表現のための技法を合理的に解説します。フィルムを初めて触るひとでも大丈夫。ご参加お待ちしています!
開催予定のワークショップ
開催予定のワークショップは「現在募集中のワークショップ」のページをごらんください。
オリジナルフィルム現像液 |東京パイロ TOKYO PYRO
東京オルタナ写真部では、オリジナルフィルム現像液「東京パイロ Tokyo Pyro」を開発しました。ありきたりな画になる要素を排し、アナログ写真ならではの美しい画に全振りしたフィルム現像液です。
世界の写真コミュニティで話題の最新現像液「510 Pyro」よりも、はるかに美麗な画像を得ることができます。
デジタルでは代替できないアナログの魅力を最大に活かす、最先端フィルム現像液。東京オルタナ写真部ショップで好評販売中です!
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東京パイロについてより詳しい解説は次のページ「オリジナルフィルム現像液 |東京パイロ TOKYO PYRO」をご覧ください。
Focal Press (1999-01-29)
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Routledge
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写真工業出版社
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玄光社
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日本カメラ社
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