銀塩フィルム、銀塩印画紙は衰退し、アナログプリントは遠からず消滅する。

誰もがそう考える昨今、静かに広がりつつあるアナログ写真ムーブメント
オルタナティブ・プロセス

デジタル写真と古典技法の組み合わせによる新しい写真表現が始まっている。



 
 
 

デジタルカメラで撮影。TPS100でネガを作成し、鶏卵紙でプリント。

一般にアナログ写真というとフィルムや印画紙を使った写真を指すが、これらは工場で大量生産される製品であって、見た目はデジタル写真と区別がつかない。しかしいま、デジタルを使うことによって、本当の手技による写真プリントが可能になる。

写真の古典技法はその独特の表現が好まれて、銀塩写真の時代にも愛好する作家はいた。技法の基礎は古典的なものであっても、様々な最新の工夫が付け加えられて行くため、それらの写真技法はオルタナティブ・プロセス、あるいはオルタナティブ・フォトグラフィと呼ばれるようになった。

ほとんどの古典写真技法は、完成プリントと同じサイズの焼き付け用フィルムが必要になる。この焼き付け用のフィルムを作るのは少し複雑なプロセスが必要だったため、オルタナティブ・プロセスはおもに作家や好事家ものだった。

やがて写真のデジタル技術が進むと、この焼き付け用のフィルムをデジタルプリンターで作成する工夫が始まった。

当初はプロジェクター投影用のOHP フィルムなどが試されたがそのうち製版用のフィルムが使われるようになった。

現在、海外のオルタナティブ・プロセス・シーンで最も評価が高く、デファクト・スタンダードとなっている製版フィルムがある。国産メーカーピクトリコのTPS100だ。だいとうは、オルタナティブ・プロセスの研究を始めてからほぼ全ての作品をTPS100を使って制作してきた。

デジタル写真を、手技の仕事の古典技法プリントへとつなぐ。
TPS100はデジタルをアナログに架橋するメディアだ。


ピクトリコプロ デジタルネガフィルム TPS100