ワークショップ『明るい部屋』を読むために/京都オルタナ写真部
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ロラン・バルトの本、『明るい部屋』を読むためのワークショップを開催します。
『明るい部屋』は小さく気軽に手に取れる本です。そのため写真論の中でもとくによく読まれている本です。しかし、それに反してこの本の内容が理解されることはほとんどありません。
このような言い方に対しては「どんな本もさまざまな解釈が可能だ。どんな理解にもそれぞれに意味がある。」という反論ができるかと思います。しかしこの本はそのような種類の本ではないと言えます。たとえば中学校の理科の教科書を読むときに「さまざまな解釈」は存在しないことは明らかです。教科書の内容を理解せずに、そこに出てくる言葉を用いて文章を作ることはできます。しかしそれを解釈と呼ぶのはナンセンスであり、本来の趣旨を見落とした逸脱でしかありません。
『明るい部屋』は、理科の教科書と同じような明解な論理性をもって書かれています。そこには正確に理解されるべき意図と活動があります。
それにもかかわらず、この本が理解されないことにはいくつかの理由があります。そのひとつは「何かについて書く」ことそのものにあります。何かについて説明する。このなじみ深い当たり前の行為には、私たちが日常的には気づかない深い謎が隠されています。ロラン・バルトはこの謎に向き合いながら書いています。しかし「『何かについて書く』ことについて書く」ための特別な言葉は存在しないため、それを無視して表面的にテキストを読むことはできます。そしてそのように読む限り、この本は写真についてキラキラとした言葉を並べた衒学的な遊びのようにしか見えないはずです。
この本を本当に読むために、このワークショップでは「何かを説明する」ことの淵を見に行きます。言葉が終わるところは、この本でバルトが歩み始める場所であると言えます。そこに立ってみることがこのワークショップの目標です。
『明るい部屋』が広く読まれているにも関わらず理解されない理由は、私たちが本を読むことの意味にもあると考えられます。
書店で本を選ぶとき、私たちは本の内容への関心に加えて、その本を手に取ること自体に期待や興奮を感じます。ちょうど新しい靴やアクセサリーを選ぶときのように。
フランス人思想家ロラン・バルトによる写真論『明るい部屋』はまさにそのような種類の本として、書店の棚に並んでいます。そして私たちは本を購入し、カフェで開き、数ページ読み、挫折します。
なぜなら、この本に書かれていることは、知的な飾りでも遊びでもないので、私たちが手軽に消費できる要素がないからです。古典と呼ばれている写真論にも知的な遊戯のような本はあります。そのような本は、適当に引用することで、自分を手軽に知的に飾ることができます。
しかし『明るい部屋』はそのような本ではありません。バルトがラテン語や他の思想を参照し援用しているのは「説明すること」の淵に立っているからです。それは書くことの限界ともいえる場所であって、安全な場所での言葉遊びとは全く異質なものです。
ロラン・バルトのテキストにはたしかにスタイルがあります。とくにこの本では、美しく書くことはバルトにとって重要なことでした。しかしそこで実際に行われていることは、華麗な話芸ではなく、想像を超えるほどの孤独な苦闘です。
何かを説明することを説明するような本、知的なキラキラを期待して読めない本。それはなにも面白みのない本なのではないか?そんな本をわざわざ読む価値はあるのか?
ひとまず言えることは、この本は理解して読むことができる本であるということ。そして、読むことができたとき、この本は、写真論を超えた感動的な思想書として体験されるだろうということです。
そして私たちが写真について語ろうとするとき、アプローチそのもののレベルが変化することは確かだと言えます。それはこの本を読めたあとに、それ以前と同じようには写真について語ることはできなくなるはずだからです。
2025年5月3日(土)
14:00開始 17:00終了予定
場所:日光写真部(京都市左京区北白川)
講師:大藤健士
参加費:5,000円(税込)
ワークショップ参加方法
参加希望の方は以下の申し込みフォームよりお申し込みください。もし自動返信メールが届かない場合、申込みが完了していない可能性があります。その場合はお手数ですがメールでお知らせください。
申し込みフォームを送信後、折り返しこちらから詳細をご連絡いたします。もし2日以内にメールが届かない場合はお手数ですが下記メールアドレスまでご連絡ください。東京オルタナ写真部:info@tokyoaltphoto.com