サイアノタイプ感光液販売開始!:新処方と古典処方について Cyanotype

1842年にジョン・ハーシェルによって発明された写真技法「サイアノタイプ」。簡単な手順で美しい画像を手作りすることができるため、デジタル画像の代替技法(オルタナティブ・プロセス)として現在リバイバルしています。
ジョン・ハーシェルが採用した古典的処方は、手軽に作れるサイアノタイプとして現在も一般に販売されています。
ただ、古典的処方は塗布後の流出による損失が多いため、階調表現と精細感に劣ることが欠点として挙げられます。他にも、カビが生えやすい、感度が低い、などの問題点はあるのですが、作品制作においては「画質がイマイチ」であることはなによりも問題になります。
そこで画質を改善した新処方がMike Ware氏によりNew Cyanotype Processとして開発されました。
市販の古典処方サイアノタイプの多くはボトルに入った粉末の状態で販売されていますが、水に溶解後は1週間程度で感光液にカビが生えることがあります。東京オルタナ写真部のサイアノタイプ感光液(古典処方)は、塗りやすさと防腐性を改善しています。またアナログ写真技法としては非常に安全性が高いことも魅力です。
東京オルタナ写真部の「新処方サイアノタイプ感光液」は、Mike Ware氏のNew Cyanotype Processを元に改良を加えたものです。この新処方サイアノタイプには、毒物や劇物に指定されている薬品や製剤は使用していません。また原料に含まれるシュウ酸塩は製造過程において取り除いているため、古典処方と同様に安全に使用できます。
新処方サイアノタイプ感光液は古典処方から以下の点が改善されています。画質が大幅に改善されているため、デジタルネガ等を用いた写真作品制作におすすめです。新処方サイアノタイプにはデジタルネガ用のPhotoshopデータが付属します。
新処方サイアノタイプは、長期保管すると感光液中に青い微粒子が発生することがあります。その場合は、付属のろうととろ紙を用いてろ過することで引き続き使用できます。
* 新処方サイアノタイプ/ New Cyanotypeの感光液は混合済みですので、ステップ1は省略してください。
サイアノタイプの画を作っているプルシアンブルーはタンニン酸と反応すると色が変化します。タンニン酸はお茶などに含まるため、濃く煮出した紅茶、緑茶、コーヒーなどがよく使用されます。ほかに柿渋や赤ワインなども使用できます。それぞれで色味は異なります。
調色方法は、プリントしたサイアノタイプを上記のお茶類に浸すだけです。ゆっくりと色が変化するので、ちょうどよいところで引き上げて水洗してください。
サイアノタイプのプリントを、最初にホウ砂や重曹のごく薄い溶液で少し漂白してから、お茶類で調色すると、明部と暗部で色が異なるダブルトーンに調色することができます。
写真のような画像をサイアノタイプでプリントするには「ネガ」を用意する必要があります。
プリントしたい写真を用意し、画像編集ソフトを用いて明暗を反転させ、ピクトリコの「デジタルネガ」などの用紙にインクジェットプリンターで出力することでプリント用のネガを得られます。
精細な画像を得るには「新処方サイアノタイプ/ New Cyanotype」をおすすめします。感光液の紙への定着がより確実でシャープネスが向上しています。また階調再現も古典処方に比べて優れています。
「新処方サイアノタイプ/ New Cyanotype」にはテスト済みのデジタルネガ用トーンカーブ(Photoshopトーンカーブプリセットデータ)が付属しています。詳細は感光液に添付の取扱説明書をご参照ください。
厚く重量のある高級画用紙は、乾燥後の波打ちが少なく表面の風合いが良いため、サイアノタイプとの相性が非常に良いと言えます。ただ、水彩画用の画用紙の多くはアルカリ性に調整されているためにサイアノタイプのプリントには向きません。必ず中性に調整された画用紙を使うようにしてください。
高級画用紙のメーカーからは古典写真技法に向く製品が出ていますが、ハーネミューレ社の「プラチナラグ」もそのひとつです。このページの作例の一部はプラチナラグでプリントしています。
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