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写真とアートをめぐる東京オルタナ写真部読書会
ここまでロラン・バルトケネス・クラークヴァルター・ベンヤミンエルヴィン・パノフスキー、そしてJ.S.ミルの『自由論』を読んできました。

今回は、ナイジェル・ウォーバートン『「表現の自由」入門』です。

自由の原理と、現実の世界

ミルの『自由論』は自由の原理を示すことで圧巻の説得力がありました。個人の自由が守られることは、社会そのものが成立するために不可欠なのだと。しかし、原理はそうであったとしても、具体的な問題に「自由」を適用するはどうすればいいのか、という問いは残ったままです。しかもミルの時代と私たちの間には大きな歴史の隔たりがあります。現代の現実と自由の問題をどう考えればいいのでしょうか。

この『「表現の自由」入門』(原題:Free Speech: A Very Short Introduction)は、私たちの現実に「自由」を応用するための例題集のような本です。この問題を概観するための簡単なガイドブックと言ってもいいかもしれません。

この本が取り上げている、歴史、宗教、芸術、ヘイトスピーチ、ポルノ、インターネットなどは、私たちも日常的に直面する問題です。そして、それらは写真作品を制作する私たちの「なぜ表現するのか」という問いにもつながっています。

ミルの『自由論』は、この本でも重要な論考として扱われています。読書会に参加される方は、先に『自由論』を読まれることをおすすめします。参加希望される方には、読書の補助として『自由論』読書会のレジュメをお渡しします。さらに、『「表現の自由」入門』読書会を始める前に『自由論』をざっくり復習する機会を用意したいと思います。

 

『「表現の自由」入門』

「表現の自由」とは何か? われわれはなぜそれを大切にすべきなのか? 暴力をかきたてる言論やポルノグラフィに対して、どこで限界の線引きがなされるべきか? 表現の自由をめぐる思想史からアクチュアルな難問まで、具体例を多用しつつ平易な文章で説いた画期的な本。

 

開催日程

2021年7月10日(土) 18:00〜
毎週土曜日 18:00から開催。
読み終えるまで開催します。

  • 開催方式
    • オンライン開催を予定しています。
    • 状況をみて、アトリエオルト(南青山)での対面とオンラインの同時開催も行います。
  • 参加費:カンパ(500円/月 程度)
    • アトリエオルトでの開催時はカンパ1,000円程度。
  • 進行:大藤健士

参加方法

途中参加を希望される方はメールでご連絡ください。東京オルタナ写真部:tokyo.alt.photo@gmail.com

 

使用するテキスト

基本的に日本語訳を読む予定ですが、適宜、英語原文にもあたります。原文だけでの参加も歓迎です。

日本語訳

「表現の自由」とは何か? われわれはなぜそれを大切にすべきなのか? 暴力をかきたてる言論やポルノグラフィに対して、どこで限界の線引きがなされるべきか? 表現の自由をめぐる思想史からアクチュアルな難問まで、具体例を多用しつつ平易な文章で説いた画期的な本。

 

英語

'I disapprove of what you say, but I will defend to the death your right to say it' This slogan, attributed to Voltaire, is frequently quoted by defenders of free speech. Yet it is rare to find anyone prepared to defend all expression in every circumstance, especially if the views expressed incite violence. So where do the limits lie? What is the real value of free speech? Here, Nigel Warburton offers a concise guide to important questions facing modern society about

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参照ウェブサイト

Free Speech Debate : 哲学者ティモシー・ガートン・アッシュが運営するウェブサイト

読書会へのご参加について

「本やメディアで話題になる作品が評価されるべき作品だ」
あるいは
「作品の評価は自分の好き嫌いの感覚で決めていい」

このどちらの見方も、一般的にアートを評価する方法だとふつうに考えられています。しかしこのどちらも結局は場当たり的な言葉しか生みません。そして場当たり的な気持ち良い言葉を多くの人が使い始めると、ていねいに切実に見て考えようとする態度は抑圧されていきます。

場当たり的な言葉に覆い尽くされてしまうと、私たちはほんとうに自分にとって大切なものについて考える言葉を持てなくなってしまいます。東京オルタナ写真部のアート批評ワークショップと読書会は、切実なものを考えるための言葉をつかみ直すための試みとして始まりました。これは、多数を頼みにした安全な場所から発せられる言葉に抗いながら、自分の言葉を見つけていく挑戦とも言えます。

私たちの読書会批評会はどのような人にも開かれています。ただ参加にあたっては、意味のある議論へのリスペクトをお願いしています。と言っても、難しいことではありません。言葉でなんとでも言うのではなく、意味のあることを話し合い、いっしょに考えていきましょうというお誘いです、もし参加にあたってご質問などがありましたら、お気軽にお知らせください。

tokyo.alt.photo@gmail.com : 東京オルタナ写真部メール

 

私たちの読書会と批評会については、こちらのブログ記事もご参照ください。

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