サイアノタイプ感光液の使用について Cyanotype

サイアノタイプ(新処方) ©東京オルタナ写真部

 

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新処方サイアノタイプ / New Cyanotype

取り扱い説明書

安全データシート

 

サイアノタイプ(古典処方)

取り扱い説明書

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サイアノタイプ感光液:古典処方と新処方

東京オルタナ写真部の「新処方サイアノタイプ感光液」は、Mike Ware氏のNew Cyanotype Processを元に改良を加えたものです。新処方サイアノタイプには、毒物や劇物に指定されている薬品や製剤は使用していません。古典処方サイアノタイプは非常に毒性が低く安全に使用できます。新処方サイアノタイプも、製造過程においてシュウ酸塩を取り除いているため、古典処方と同様に安全に使用できます。

新処方サイアノタイプ感光液は古典処方から以下の点が改善されています。

  • 画像の精細度が向上しています。写真の細部のディテールまで再現できます。
  • 階調再現性に優れています。狙い通りのトーンにプリントできます。とくにハーフトーンのなめらかさが改善されています。
  • 古典処方の1/8程度の露光時間でプリントできます。たとえば古典処方で露光時間が20分だった場合、新処方では約2.5分に短縮されるため、作業効率が向上します。
  • 古典処方に比べて少ない量の感光液でプリントできます。
  • 調合済みの1液のため、プリントまでの準備が少なく簡単に制作できます。
  • 使用期限が5年程度と保存性が高くなっています。

新処方サイアノタイプは、長期保管すると感光液中に青い微粒子が発生することがあります。その場合は、付属のろうととろ紙を用いてろ過することで引き続き使用できます。

感光液の塗布方法:(A4サイズの紙 1枚の分量)

* 新処方サイアノタイプ/ New Cyanotypeの感光液は混合済みですので、ステップ1は省略してください。

  1. シリンジでA液とB液をそれぞれ2ml計って容器に取り、混ぜ合わせます。合計4mlになります。
  2. 混合した感光液2mlをA4サイズの紙に刷毛などで塗布します。
  3. ドライヤーなどで軽く乾かし、感光液2mlをもういちど重ねて塗布します。
  4. ドライヤーなどで乾燥させれば、サイアノタイプ印画紙の完成です。

 

サイアノタイプ印画紙の露光方法

  • 太陽光などの強い光で露光します。露光の際に紙の上に陰影を作ることで形やグラデーションを描くことができます。紫外線を含む光源であれば人工光での露光もできます。
  • 感光液を塗布した部分が十分に色が変われば、露光終了です。

 

サイアノタイプ印画紙の現像方法

  • 流水で数分間水洗します。
  • 500ccの水にクエン酸を10g溶かした溶液に1~2分ひたします。(あるいは500ccの水に市販のオキシドールを小さじ1/2程度溶かした溶液で処理することもできます。)
  • 流水で20分水洗して乾燥させます。

 

サイアノタイプを作るコツ

  • 直射日光が入らない部屋であれば、照明の下で作業できます。
  • マルマン ヴィアフール水彩紙」などの中性の紙を使用してください。アルカリ性の紙を使用すると画像が定着しない場合があります。
  • 布や革にプリントすることもできます。感光液を布に塗布する際には、洗濯のりでにじみ止めをしておくと塗りやすくなります。
  • ネガ画像の透過原稿を印画紙に密着させて露光することで、イラストや写真をプリントすることができます。

 

色を変える調色方法

青色を変化させる

サイアノタイプの画を作っているプルシアンブルーはタンニン酸と反応すると色が変化します。タンニン酸はお茶などに含まるため、濃く煮出した紅茶、緑茶、コーヒーなどがよく使用されます。ほかに柿渋や赤ワインなども使用できます。それぞれで色味は異なります。

調色方法は、プリントしたサイアノタイプを上記のお茶類に浸すだけです。ゆっくりと色が変化するので、ちょうどよいところで引き上げて水洗してください。

ダブルトーンにする

サイアノタイプのプリントを、最初にホウ砂や重曹のごく薄い溶液で少し漂白してから、お茶類で調色すると、明部と暗部で色が異なるダブルトーンに調色することができます。

サイアノタイプ(紅茶調色) ©東京オルタナ写真部

 

写真をプリントする方法

写真のような画像をサイアノタイプでプリントするには「ネガ」を用意する必要があります。

プリントしたい写真を用意し、画像編集ソフトを用いて明暗を反転させ、ピクトリコの「デジタルネガ」などの用紙にインクジェットプリンターで出力することでプリント用のネガを得られます。

精細な画像を得るには「新処方サイアノタイプ/ New Cyanotype」をおすすめします。感光液の紙への定着がより確実でシャープネスが向上しています。また階調再現も古典処方に比べて優れています。


デジタルネガティブ・ワークショップ先日開催したデジタルネガティブ・ワークショップでは、サイアノタイプの伝統的処方のデータを取りました。サイアノタイプなどの古典的な写真技法は紫外線付近の光にしか感光しないため、ネガフィルムを感光化した紙に密着させてプリントする方法が一般的です。その密着プリント用のネガフィルムをインクジェットプリンターで出力したものがデジタルネガティブです。プリントしたい画像の階調を反転してデジタルネガ用フィルム(ピクトリコTPS100)に出力すればデジタルネガティブは完成です。って...

 

デジタルネガ用トーンカーブ

新処方サイアノタイプ/ New Cyanotype」にはテスト済みのデジタルネガ用トーンカーブ(Photoshopトーンカーブプリセットデータ)が付属しています。詳細は感光液に添付の取扱説明書をご参照ください。

詳細は感光液に添付の取扱説明書をご参照ください。

 

ハーネミューレ「プラチナラグ」

厚く重量のある高級画用紙は、乾燥後の波打ちが少なく表面の風合いが良いため、サイアノタイプとの相性が非常に良いと言えます。ただ、水彩画用の画用紙の多くはアルカリ性に調整されているためにサイアノタイプのプリントには向きません。必ず中性に調整された画用紙を使うようにしてください。

高級画用紙のメーカーからは古典写真技法に向く製品が出ていますが、ハーネミューレ社の「プラチナラグ」もそのひとつです。このページの作例の一部はプラチナラグでプリントしています。

ヨーロッパを代表する老舗製紙メーカー、ハーネミューレ社の新製品は、なんとオルタナティブ・プロセス用の紙。早速テストプリントを制作してみました。  東京オルタナ写真部では、写真の古典技法を用いた「オルタナティブ・プロセス」のワークショップを開催しています。 印画紙やフィルムが発明される前にも、写真には非常に多くの異なる技法が存在しました。「オルタナティブ・プロセス」はそのようないったん忘れられた技法を用いて現代的な写真表現を探求するムーブメントです。 このような古典技法でプリントする際の紙ですが、...

 

(近日発売予定)サイアノタイプ・スタビライザー:画質改善剤

サイアノタイプの画質を向上させるスタビライザー(画質改善剤)です。

サイアノタイプは簡単に画を作ることができますが、同時に非常に繊細なプリント技法でもあります。感光液は使用する紙や水質に影響を受けやすく、顔料粒子が水洗時に流れてしまい、画像が薄くなったりまだらになってしまうトラブルが起こることがよくあります。

サイアノタイプ・スタビライザーを使用すると、顔料粒子を紙にしっかりと固着させることができるため、処理中にトーンやシャープネスが損なわれることを防ぐことができます。

感光液1mlにつきスタビライザーを0.5~1滴を加えることで画像が安定します。スタビライザーは塗布前に感光液に加えてください。


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私たち東京オルタナ写真部は、ワークショップ、読書会、批評会、グループ展を通して古くて新しい写真表現に取り組んでいます。

 

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