サイアノタイプ調色キット Cyanotype Toning Kit

サイアノタイプ調色キットは、サイアノタイプ・プリントの青色を変化させる薬品のセットです。青色の微妙な変化から、茶褐色や灰色など全く異なる色にシフトする変化まで、幅広く調整することができます。

サイアノタイプ古典処方、新処方、どちらにも使用できます。

サイアノタイプ調色キット:東京オルタナ写真部

Cyanotype toning kit
サイアノタイプ調色キット 東京オルタナ写真部

サイアノタイプ調色キット 販売サイト

東京オルタナ写真部ショップ:https://tokyoaltphoto.com/shop/products/detail/47

 

サイアノタイプを調色する理由

サイアノタイプのプリントは藍染に似た美しい青色が特徴です。いったいなぜあの美しい青色を変化させるのか。その理由はさまざまだと思いますが、(言い訳のためにも)少し考えてみたいと思います。

「色のバリエーションを作れる」

「色の微妙な変化によって、画の表情が深くなる」

「憂いのあるトーン表現ができる」

サイアノタイプの青色はきれいな純粋な青色です。しかし別の見方をすると単純で単調な青色だとも言えます。調色をすることで、彩度を少し抑えた繊細な変化を表現することができます。

アメリカ黒人がうみだした「ブルース音楽(Blues)」は青色がその名の由来です。この青は単純な青ではなく、憂いを含んだ感情を表す青色です。

サイアノタイプも調色を施すことで、スモーキーで憂いのあるトーンを表現できるようになります。また、サイアノタイプの調色は2種類の色が混じり合った画を作ることができます。このダブルトーンは、私たちが複層的な意味を生きているのと同様に、表現に色の重なりの深みを与えることができます。

サイアノタイプ調色キットによる色調変化 東京オルタナ写真部

サイアノタイプの調色方法

調色の概略

A液で灰色に調色。脱色作用あり。

B液で黃褐色に調色。主に色の変化。

  • 調色後のプリントの色は、調色液の濃度、時間などの組み合わせで様々に変化します。テストを繰り返して自分の作品に最適なやり方を見つけるか、あるいは偶然の結果を楽しむこともできます。
  • 紙や水質などの条件に影響を受けやすいため、常に同じ結果を得ることが難しく、作品は常に一点ものになり、それぞれのプリントに個性を与えることができます。

調色プロセス

希釈

A液とB液をそれぞれ原液1に対して約40倍の水で希釈します。使用する液量は、プリントがトレーのなかでひたひたにつかる程度でOKです。A4程度のプリントサイズであれば、原液小さじ1を200mlの水で溶かせば十分な量の処理液になります。

調色手順

トレー3つに、水、A液とB液(希釈済み)を用意します。

  1. サイアノタイプ・プリントを水のトレーにひたす(1分程度)。
  2. まずB液にひたし、1分ほど撹拌する(この手順で、次のA液の反応速度を遅くすることができる+色調が複雑になる)。
  3. 次にA液に5秒~30秒ほどひたす。すぐに変化が起こるので、画を観察しながら判断し、素早く引き上げる。
  4. 水のトレーで1分程度水洗。
  5. B液にひたして、5分~数時間かけて処理をする。ゆっくりと色調の変化が進むので、画を観察しながら適切なところで引き上げる。
  6. 10分程度水洗して乾燥。

プロセスのオプション

処理の順序や時間を変更することでプロセスをコントロールすることができます。

  • B液の濃度を上げる(10~20倍希釈)。黄褐色への変化が強くなる。
  • 上記の手順2を省略し、水トレーから直接A液で処理する。灰色への変化が強くなる。
  • 上記の手順5の後にふたたびA液に移して処理する。引き上げるタイミングによってはピンク色が強くなる。
  • さらにA液からB液へ移し、A液〜B液のサイクルを何度か繰り返して処理する。

安全性について

食品添加物グレードの薬品を使用しています。原液に触れないように手袋とゴーグルの使用をおすすめします。希釈後の処理液は水で薄めて排水に流してください。