ボケ!は世界の共通語

 
 

慣れない海外旅行中、少し目を離したすきに怪しい男が

あなたの荷物を物色しています。

さあ、なんて言いますか?


 *

(泥棒!ってなんていうんだっけ。いや助けて!って言ったほうがいいんだっけ?…)

正解は「なにさらしとんじゃ、ボケェ!!(日本語)」です。

そうです。ボケは世界の共通語です。

って、それだけだと話が終わってしまうので、少しは写真のはなしもします。

スペイン内乱やノルマンディ上陸作戦の取材で有名な報道写真家ロバート・キャパ

キャパが第二次世界大戦に従軍したエピソードを書いたエッセイ『ちょっとピンぼけ』は、タイトルを聞いたことのある方も多いと思います。ドライでウィットに富んだ文章で、なかなか読んでいて楽しい本です。もっとも戦争を扱ってて楽しい読み物というのもどうかとは思いますが…。そこは、ヘミングウェイ的なスポーツ精神なのかもしれません。(本の中にヘミングウェイも登場します)

 

ちょっとピンぼけ (文春文庫)
ロバート・キャパ
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で、『ちょっとピンぼけ』の原題は”SLIGHTLY OUT OF FOCUS”です。たしかに「少しフォーカスが外れている」の意味ですね。「ちょっとピンぼけ」という翻訳は意味が合っているように思えます。

しかしじつは、このタイトルのもとになったノルマンディ上陸作戦の写真は、ピントがずれてぼけていたのではなく、手ぶれがひどかったんです。状況を考えれば手ぶれがひどいのは当然ですが、それはそうとして、手ぶれも”OUT OF FOCUS”の意味に含まれるんですね。

そんなわけで、英語には”OUT OF FOCUS”という言い方はあっても、「写真のピントが合っていない」ということだけを示す言葉がないんです。いや、なかったというべきですね。

1996年頃に欧米の写真・カメラ誌で初めて”bokeh”(=ボケ)という言葉がレンズのボケ具合の意味で使われました。そして、それ以来、”bokeh”は写真用語として定着しました。


信じていませんね?
まただいとうが適当なこと言ってる、と思ってるでしょう?

ではGoogle先生、お願いします!

“bokeh”検索結果 by Google

33,600,000件ヒット! \(`・ω・´)

Flickr(写真共有SNS)

“bokeh”コミュニティ:参加者47,000人! ヽ(*´∀`)ノ


美しい!キャロル・ロンバード!どうですか、このボケ味!

そうなんです、「ボケ=bokeh」。
海外で、専門用語としてではなく、完全に市民権を得ています。
むしろ日本でよりも、もっと定着した言葉になっています。
しかもなんだか愛されてる!(笑)

こんなことになった大きな理由としては、日本人の愛好家たちが昔からさかんにレンズの持ち味を研究していたことがあげられます。
レンズはピントが合っていない部分にも美しさがあることを、日本人は早い時期から知っていたんですね。単にシャープに写るだけなら、そんなレンズは風情がない。見えるようで見えないような、淡々としたぼけ具合にレンズの味わいを感じる…。いかにも日本人的な感性ですね。

でもその感性が、世界で静かに支持されているんです。

そうなると、ぼけ味の美しい昔のレンズに少し興味が出てきませんか?

ちなみに、レンズのぼけ味というのはレンズfilterで作るソフトフォーカス効果とは似て非なるものなんです。ピントには芯があってシャープなのに、どこかふんわり柔らかい、というのがレンズのぼけ味です。

では、その話はまた別の機会に。

You Tubeより:「Bokeh写真の撮り方」

0:26で「Bokeh」言ってます。Bokehの発音は3つめが正解だよ、Evan君。(笑)

Flickrに投稿された、ある”bokeh”写真。画像のリンク先のコメント欄に注目!
各国語で”bokeh”礼賛!

 

 


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